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遺言書を紛失してしまった場合の不動産登記手続き

遺言書を紛失してしまった場合の不動産登記手続き

播磨町(土山)の司法書士 北谷です。

今回は遺言から。次のケースを想定して話を進めます。

1.Aが自筆証書遺言を作成(方式は適法)。推定相続人はBC。遺言の内容は「私所有の不動産はすべてBに相続させる。」。
2.Aが死亡(遺言の効力発生)。相続人はBC。
3.家庭裁判所で検認手続き終了。
4.不動産につき、AからBに所有権移転登記(原因:相続)しないまま放置。
5.遺言書を紛失。

この場合に、遺言書の内容に従って所有権移転登記をするにはどうすれば良いのか?というのが今回のテーマです(前置きが長くてすいません…)。

まず、遺言書(自筆証書遺言)による所有権移転登記(原因:相続)の登記原因証明情報は次のとおりです。

1.遺言書(検認済みであること)
2.遺言者(被相続人)が死亡したことを証する戸籍謄(抄)本
3.受遺者が遺言者の相続人であることを証する戸籍謄(抄)本

この1.をなくしてしまったわけですが、これの代替文書を考えます。

まず思いつく(思いつかなければごめんなさい)のが、相続人全員(BC)が作成した報告形式の登記原因証明を作成することですが、この登記原因証明情報を添付しても、登記申請は受理されないと考えられます。

なぜなら、報告形式の登記原因証明情報を添付しても、遺言書が民法の定める要式を満たしているか否か、登記官が判断できないからです。
民法に定める様式を満たしていない遺言書は無効であり、当然その遺言書により権利の変動(物権変動)は生じません。権利の変動が確認できない文書は、登記原因証明情報にはなりえないこととなります。

じゃあどうすればいいの?となりますが、次の先例が参考になります。

【平成7年6月1日民三3102号先例要旨】
裁判所から遺言執行者として選任された当時検認済遺言書を紛失等しているときは、家庭裁判所の遺言検認調書の謄本を遺言執行者の資格を証する書面として取り扱って差し支えない。

この先例は遺言検認調書の謄本(当然遺言書の全文あり)を資格証明書の一部とする内容であり、同文書を登記原因証明情報にできるとの先例はありません。
文献では同文書が登記原因証明情報になるとするものがあり、個人的にも同文書は登記原因証明情報の適格性を備えていると思います。
もしチャレンジした方がいらっしゃれば是非ご教示下さい。

蛇足ですが、遺言書はなかったことにして、BCで遺産分割協議でB名義とする。という風に考えた方がいらっしゃれば、考えを改めたほうが良いと思います。

今回の設定事例は、
・自筆証書遺言が民法の要式を満たしている(難易度が高いです)。
・検認手続きを行えた(相続人により遺言書が発見され、破棄隠匿されることなく検認までこぎつけた)。
という恵まれた状況を前提としています。

公正証書で遺言を作成した場合には、公正証書遺言の原本が長期間公証役場で保管され(この期間については回を改めて考えます)、紛失の心配はありません。

遺言がテーマの時は毎度この締めですが、遺言書は公正証書で作成されることを強くお勧めします。


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