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抵当権抹消と代理権不消滅

抵当権抹消と代理権不消滅

播磨町(土山)の司法書士 北谷です。

住宅ローンを完済すれば、通常、金融機関よりマイホームに設定された抵当権の登記を抹消するための書類が届きます。

■通常、金融機関より交付される書類
1.抵当権解除証書(登記原因証明情報)
2.登記識別情報(または登記済証)
3.資格証明書
4.委任状

しかし、抵当権の抹消登記をすることなく数年間放置し、金融機関の代表者が交代した後に(書類は手元にある状態)いざその登記をしようとした場合、どうすればいいのでしょうか?

方法は2つあります。

その1つは、金融機関に事情を説明して必要書類の再交付を受けて登記を申請する方法です。

2つ目は、手元の書類を利用して登記を申請する方法です。

今回は、この2つ目の方法についてまとめておきます。

前提として、この方法が可能なのは、代理権不消滅の規定(不動産登記法17条)があるためです。

(不動産登記法)
17条 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
 ①本人の死亡
 ②本人である法人の合併による消滅
 ③本人である受託者の信託に関する任務の終了
 ④法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

この規定により、当時の金融機関の代表者(現在は退任している)の委任の効力は、その代表者が退任した後も消滅しない。よって当時の委任状もそのまま使える、ということになります。

しかし、この方法を取るには、書類を1点(あるいは2点)新たに取得しなければなりません。

また、申請書にも通常の抵当権抹消登記には必要のない事項を記載しなければならないものとされています。その内容は次のとおり。

■必要な添付書類(前記(通常、金融機関より交付される書類)の1.2.4.のほかに、)

金融機関の閉鎖登記事項証明書、履歴事項証明書など

・退任した代表者の退任の記載のあるもの(退任した代表者が代表権限を有していた期間が明らかであることが必要)
・作成後3カ月内である必要はない。

■申請書に記載すべき事項(通常記載すべき事項のほかに、)

代表者の代理権限が消滅した旨およびその者が代表権限を有していた時期を明示する

・例「登記義務者の代表者の代理権限は消滅している。代理権限を有していた時期は平成○年○月○日から平成×年×月×日である。」
(平成5年度主席登記官会同における質疑第2.2)
・申請書の登記義務者の代表者は、当時の(退任した)代表者を記載する。

(平成6年1月14日民三366号要旨)
登記申請代理権の不消滅に関する不動産登記法26条3項の規定が適用される場合の申請書の添付書類等については、次のとおり取り扱って差し支えない

二 登記申請の委任をした法人代表者の代表権限が消滅した場合において、その委任を受けた代理人が当該委任に係る代理権限証書を添付して登記の申請をするとき

1 申請書に添付された登記申請の代理権限を証する書面の作成名義人である法人の代表者が現在の代表者でない場合における代表権限を証する書面には、当該代表者が代表権を有していたことを明らかにする当該法人の閉鎖登記簿謄本(作成後3か月を超えるものであっても差し支えない。)が含まれる。なお、上記のような書面を添付して申請をするときは、当該代表者の代表権限が消滅している旨を明らかにする必要がある

2 当該代表者が代表権限を有していた時期を当該法人の登記簿で確認することができる場合の「当該法人の登記簿」については、登記用紙の末尾に閉鎖した役員欄の用紙が編綴されているときには、この閉鎖した役員欄の用紙を含むものとして取り扱う

上記により、ほとんどの法務局で申請が受理されると思いますが、法務局によっては、①現在の代表者の資格証明書(作成後3カ月内であること)も添付する。②申請書の登記義務者の代表者は現在の代表者を記載する。とされているようです。

はじめて申請する法務局では事前確認をして下さい。

もし一般の方が本件の状況で本人申請により登記を申請したい場合には、よほど急ぐ事情のない限り、1つ目の方法(金融機関へ申し出る)をとられた方がよいと思います。

また、今回の設定事例はローン完済時に交付された書類が手元にあることを前提としています。書類を紛失等している場合には、別の手続きが必要となる場合がありますのでご注意ください。

いずれにしても、長期間放置せず登記を申請するのが最も簡便な手続きとなります。
ローンを完済して書類を受け取ったらすぐに手続きされることをお勧めします。

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