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「相続させる」遺言について(その2)

「相続させる」遺言について(その2)

播磨町(土山)の司法書士 北谷です。

前回は「相続させる」遺言についての解釈や取扱いについて考えました。

今回は遺言書の文言(相続させる・遺贈する)による所有権移転登記の際の登記原因、及び手続・効果の違いにつきまとめておきます。

前提として、遺言の種類としては、次の2つがあります(負担付遺贈とかもありますが…)。

■包括遺贈
遺産の全部、または一部を割合をもって示し対象とする遺贈。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持つ(民法990条)。
よって、包括遺贈の放棄は自己のために遺贈のあったことを知った日から3ヶ月以内にしなければならない(民法990条・915条1項)。
相続債務についても、遺贈の割合に応じて承継する(ただし、相続人が受遺者の場合、遺贈の効果を債権者に対抗できない)。

 
■特定遺贈
具体的な特定財産を対象とする遺贈。
遺贈の放棄は、遺贈者の死後いつでもできる(民法986条)。
特に指定のない限り、相続債務は承継しない(ただし、相続人が受遺者の場合、遺贈の効果を債権者に対抗できない)。

次に、遺言書の文言と登記原因ですが、

【原則】文言のとおりの登記原因となる。
相続人全員に対して「(特定)遺贈する」    ⇒「遺贈」
(昭和58年10月17日民三5987号)

相続人の一部に対して「(包括)遺贈する」   ⇒「遺贈」
(昭和38年11月20日民甲3119号)

相続人の一部に対して「(特定)遺贈する」   ⇒「遺贈」
(昭和48年12月11日民三8859号)

相続人と相続人でない者に「(包括)遺贈する」 ⇒「遺贈」
(昭和58年3月2日民三1310号)

相続人以外の者に「(包括)遺贈する」     ⇒「遺贈」
(昭和29年5月6日民甲968号)

(相続人2名の場合)長男に甲不動産、二男に乙不動産を「相続させる(遺産分割方法の指定)」 ⇒「相続」
(昭和47年4月17日民甲1442号)

(相続人2名の場合)長男に全部を「相続させる(遺産分割方法の指定・相続分の指定含む)」  ⇒「相続」
(昭和47年4月17日民甲1442号)

【例外】次の2つのケースについては、遺言書の文言と登記原因が異なる。

①相続人全員に対して「(包括)遺贈する」   ⇒「相続」
(昭和38年11月20日民甲3119号) ※内容が「相続分の指定」と解されるため。

②相続人以外に対して「相続させる」      ⇒「遺贈」※相続人以外に「相続」させることは出来ない。
(参考:登研480・131)

最後に、相続人に対して遺言する場合に、遺言書の文言を「相続させる」と「遺贈する」かでどのような違いがあるか考えてみます。

1.登記の申請人
「相続」⇒その不動産を取得する相続人の単独申請
「遺贈」⇒その不動産を取得する相続人を登記権利者、遺言執行者(遺言執行者がいない場合は、相続人全員)を登記義務者とする共同申請

2.被相続人の登記上の住所と死亡時の住所が異なる場合
「相続」⇒被相続人の同一性を証する住民票(除票)などを添付すれば、所有権登記名義人住所変更登記不要。
「遺贈」⇒所有権登記名義人住所変更登記が必要(申請人は遺言執行者または相続人(のうちの1名で可)。受遺者が代位して行うことも当然可。)。

3.対抗要件としての登記
「相続」⇒登記なくして対抗可
「遺贈」⇒登記なくして対抗不可

ただし、最高裁昭和62年4月23日判決により、
遺言執行者がある場合の特定物の遺贈による権利取得に関しては、受遺者は登記なくして第三者に対抗できる。

4.賃借権の相続
「相続」⇒賃貸人(所有者)の承諾不要
「遺贈」⇒賃貸人(所有者)の承諾必要

※ 登録免許税について
以前は登記原因によって違いがあった(「相続」の方が有利)が、現在では違いはない。
(平成15年4月1日民二第1022号)

※ 農地法の許可について
以前は登記原因によって違いがあった(「相続」の方が有利)が、現在では違いはない。
(平成24年12月14日民二第3486号)

よって、以前と比べて、違いは少なくなくなりましたが、手続上の簡便さにより、やはり「相続させる」遺言の方が一般的に多く用いられています。

なお、相続人以外には「相続させる」ことは出来ません。受遺者が相続人以外に場合には、遺言の内容の正確を期するため「遺贈する」とすべきでしょう。

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