会社(法人)の印鑑届・印鑑カードについて
会社(法人)の印鑑届・印鑑カードについて
播磨町(土山)の司法書士 北谷です。
今回は会社・法人登記から。
主に印鑑届けと印鑑カードの関係についてまとめておきたいと思います。
印鑑届が出来る者はさまざまですが、今回は株式会社の代表者としておきます。
■印鑑届
会社登記の申請書に押印すべき者(代表取締役等)は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければなりません(商登法20条1項)。
この規定は、委任による代理人によつて登記の申請をする場合には、委任をした者(代表取締役等)について適用されます(商登法20条2項)。
登記の申請書または委任状に押印すべき者に対して印鑑の提出を求めたのは、提出済みの印鑑と登記の申請書または委任状に押された印鑑を照合することによって、当該登記の申請が、申請行為を行うべき者(代表取締役等)の真意に基づいてなされていることを担保しようとするものです。
条文上は「あらかじめ」となっていますが、実際は、当該申請を行う者(代表取締役等)が最初にする登記と同時になされています(設立登記、代表者交代の登記など)。
■印鑑カードの交付請求
印鑑を提出した者(代表取締役等)は、登記所に「印鑑カード交付申請書」を提出して、当該印鑑についての印鑑カードの交付を請求することができます(商登規9条の4・1項)。
現状、印鑑カード一度も発行することなく印鑑証明書を取得することは出来ないようです。
印鑑証明書のオンライン請求が考えられますが、管轄登記所に電子証明書取得請求をする際、印鑑カードの提示が求められます。その後、オンライン申請しかしないのであれば印鑑カードはいらないでしょう。
■改印届と印鑑カード
印鑑を提出した者(代表取締役等)は、提出した印鑑を改印することができます(商登法20条1項)。
改印前の印鑑に係る印鑑カードは、改印後の印鑑に係る印鑑カードとして継続して使用することとなります。
改印と同時に印鑑カードも新調したいときは、改印届と印鑑カード交付請求をしてもだめです(同一の印鑑に重ねて印鑑カードの交付を請求することは出来ないため)。
印鑑廃止届(+印鑑カード廃止届)と印鑑届+印鑑カード交付請求をすることとなります。
■印鑑廃止届けと印鑑カード
印鑑カードの交付を受けている場合は、原則として(例外は後述)、印鑑だけを廃止することは出来ません。印鑑の廃止と印鑑カードの廃止を同一の届出により行うこととなります。
印鑑廃止届の押印については次のとおり。
①廃止する印鑑を押印する ②届出の際印鑑カードを提示すれば押印不要 ③①②ができない場合は、代表者個人の実印を押印の上、印鑑証明書(作成後3ヶ月内)を添付する。
■印鑑提出者の交替と印鑑カード
印鑑を提出した者(代表取締役等)がその資格を喪失し、または印鑑の廃止をした場合においては、その者に代わって新たに印鑑を提出するものは、印鑑の提出と同時に申し出ることにより、従前の者の印鑑カードを承継して使用することができます(商登規9条の4・3項)。
よって、印鑑を提出した者(代表取締役等)がその資格を喪失し、または印鑑の廃止をした場合、承継使用の申出がない限り、従前の印鑑カードは使用できないものとなります。
■印鑑カードのみの廃止
登記所から印鑑カードの交付を受けたものは、印鑑カードの廃止届をすることができます(商登規9条の5・3項)。
印鑑カード廃止届の押印については次のとおり。
①廃止する印鑑カードに係る印鑑を押印する。 ②届出の際印鑑カードを提示すれば押印不要。 ③①②ができない場合は、代表者個人の実印を押印の上、印鑑証明書(作成後3ヶ月内)を添付する。
■印鑑カードの返納
印鑑カードの交付を受けた者は、次の場合は、登記所に印鑑カードを返納しなければならなりません。
・印鑑カードの交付を受けたものが退任等により資格を喪失した場合(承継使用の申出がある場合を除く)
・会社が管轄を異にする登記所の管轄区域内に本店を移転したとき
・印鑑の廃止の届出がなされたとき
・印鑑カードの廃止の届出がなされたとき
ただ、実際は厳密に返納を求められるわけではありません。
【おまけ】
会社の支配人の印鑑届は少し変わっているでまとめておきます。
1.「本店・主たる事務所」欄には、支配人を置いた営業所を記載。
2.保証書(会社代表者が支配人の印鑑に相違ないことを保証した書面)が添付書類となる。
3.保証書には会社代表者の届出印を押印。同印鑑に係る印鑑証明書(作成後3ヶ月内)も添付する。
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